より安全な医療をめざして
リアルワールドの医療安全対策
- 定価 4,180円(税込)
- 著者:チャールズ・ヴィンセント
- 著者:レネ・アマルベルティ
- 監修:三木 保
- 監訳:浦松 雅史
- 監訳:藤澤 由和
- 1版・B5・182ページ・並製
- 発行年月:2020年10月
- ISBN 978-4-86719-003-6
- ※記載されている所属・肩書は、出版当時のものです。
複雑で予測困難な現実の医療現場におけるリスクに対処するために!
本書は、医療安全研究の第一人者である原著者による“Safer Healthcare: Strategies for the Real World”の日本語版である。単に理論や理想を提示するのではなく、“現実の”医療現場で何が問題となり、医療従事者が何をすれば良いかが的確に示されている。日本において医療安全対策に携わっているすべての医療従事者に、斬新な視点をもたらし、新たな指針となり得るものである。
第1章 患者安全の進歩と課題
患者安全の進歩
害の定義の範囲が狭すぎる
安全とは動く的である
一部の医療現場だけにしか着目していない
すべての環境において同じように安全にアプローチしてきた
使用できる介入モデルが限定的である
医療は変わり続ける
第2章 理想と現実
日常の医療における現実
理想と現実:ケアの5段階のレベル
質の低いケアの累積的な影響
現実に即したスタンダードについての明確な議論が不可欠である
標準とされるケアの水準が向上することで何が起こるのか?
ケアのレベルと患者安全への取り組み方
第3章 すべてに適用可能な安全へのアプローチは存在しない
リスクとハザードへのアプローチ:受け入れる、管理する、あるいは回避する
リスク管理のための3つのアプローチ
ルールの順守と柔軟な対応
医療にはどれだけのモデルが必要なのか?
別の安全モデルへと移行する
安全の理想像についての考察
第4章 患者の目線から安全を考える
害という言葉の意味するもの
患者側から見た安全と医療の質
患者の目線で安全を考える
患者安全の再考
第5章 インシデント分析がもたらすもの
インシデント分析から何を学ぼうとしているのか?
ALARMEの基本コンセプト
患者にとって重要な問題を分析対象として選択する
分析対象とする期間を広げる
エラーを発見して状況を回復する
環境に合った分析の実施
第6章 安全対策
患者安全を改善するためにはどのような選択肢があるのか?
5つのタイプの安全対策
安全対策1:ベストプラクティスによる安全
安全対策2:医療提供のシステムやプロセスの改善による安全
安全対策3:リスクコントロールによる安全
安全対策4:モニタリングおよび適応や柔軟な対応を進めることによる安全
安全対策5:緩和措置による安全
医療におけるイノベーション
医療現場に合わせた安全対策の選択とカスタマイズ
第7章 病院における安全対策
これまでの取り組み
病院における安全対策:これまでと将来の違い
安全対策1:ベストプラクティスによる安全
安全対策2:医療提供システム(仕組み)の改善による安全
安全対策3:リスクコントロールによる安全
安全対策4:モニタリングおよび適応や柔軟な対応を進めることによる安全
安全対策5:緩和措置による安全
安全へのアプローチに関連する規制および政策
病院環境の安全対策についての考察
第8章 在宅ケアにおける安全対策
高齢者と在宅ケアの需要の増加
在宅医療提供における課題
在宅ケアのハザード:新たなリスクと課題
在宅医療提供の安全性に影響を与える要因
在宅ケアにおける安全対策および介入手段
在宅ケアにおける最適化対策:ベストプラクティスおよびシステム改善
在宅ケアにおけるリスクコントロールによる安全対策
在宅ケアにおけるモニタリング、適応、対応の改善による安全対策
容体の変化の早期発見
緩和措置
在宅ケアにおける安全対策の考察
第9章 プライマリ・ケアにおける安全対策
プライマリ・ケアにおける課題
プライマリ・ケアに潜む本質的なリスク
ベストプラクティスによる安全対策
システムの改善
リスクコントロールによる安全対策
モニタリング、適応および柔軟な対応による安全対策
緩和措置
プライマリ・ケアにおける安全の考察
第10章 患者安全の新たな課題
変化する医療の本質
いくつかの側面で見られる安全性の向上
患者安全の新たな課題
進化する医療システム
第11章 安全対策および介入手段の概要
患者の視点から安全を捉える
患者の人生という長期的な観点で恩恵と害を考える
リスク管理による患者安全
幅広い安全モデルを適用する
幅広い安全対策を開発する
安全対策の概要
第12章 リアルワールドのリスク管理
患者や介助者、家族にかかわる影響
医療現場のスタッフや管理者にかかわる影響
経営者および理事にかかわる影響
規制当局および政府にかかわる影響7
研究と実践の将来的な方向性