移植コーディネーター概論【売り切れ】
- 定価 3,520円(税込)
- 監修:日本組織移植学会
- 編著:田中 秀治(杏林大学医学部臓器組織移植センター)
- 編著:篠崎 尚史(東京歯科大学市川総合病院角膜センター)
- A4・150ページ・並製
- 発行年月:2004年09月
- ISBN 978-4-89269-484-4
- ※記載されている所属・肩書は、出版当時のものです。
わが国の移植医療は,現在までに30例の脳死下での移植を経て黎明期からようやく軌道にのり,まさにこれから普遍的な医療として発展していく過程に入ってきた。臓器提供が価値ある行為であるとの認識が定着した現在こそ,これらの医療の真価が問われる時であろう。今後5 年の結果が,移植医療がわが国に本当に根づいていくかどうかを左右すると言っても過言ではない。
このようにわが国の移植医療が発展をとげようとしている現在,何が移植医療に求められているかは一目瞭然である。すなわち,質の高い移植医療を実践できるコーディネーターを育成することである。
われわれは平成11年度より,世界に先駆けて医科系大学内に「移植コーディネーター論」を開講し,看護師,検査技師,救急救命士を目指す人たちを教育する機会を得た。その講義の中からコーディネーターの教育に必要と思われる部分を抜き出し,作成されたのが本書である。今後は日本組織移植学会によって平成16年から始められる,組織移植コーディネーター認定制度の教書としての目的も含めて作成された。
願わくは,本書が移植医療の発展に少しでも役に立つのであれば,著者としてこれにまさる幸せはない。
「本書を発刊するにあたって」より
第1章 移植コーディネーター業務の概要と心構え
1. はじめに
2. 移植コーディネーターとは
3. 移植コーディネーターの役割
4. 移植コーディネーターの業務
5. 移植コーディネーターが知っておくべき法律
6. インフォームド・コンセントと本人意思の尊重
7. 意思表示ができる年齢,遺族および家族の範囲について
8. 臓器提供施設と脳死判定
第2章 移植医療における法的事項と行政上の問題点
1. 移植医療
2. 移植医療の特徴
3. 臓器の移植に関する法律(臓器移植法)
4. 臓器移植法のポイント
5. 法的・行政的側面からみた移植をめぐる問題点
[資料1]臓器移植の実施状況等について
第3章 救急医療と脳死判定・臓器移植
1. 脳死とは
2. 脳死判定
3. 脳死判定後の選択肢(終末期ケア)
4. 法的脳死判定
第4章 移植と免疫
1. はじめに
2. 移植の分類
3. 臓器または組織移植
4. 免疫反応
5. 生体防御機構
6. 主要組織適合抗原系(MHC)
7. 免疫担当細胞
8. 拒絶反応
9. 免疫抑制薬
10. 免疫学的寛容(トレランス)
11. QOL(Quality of Life)
第5章 脳死下臓器移植各論
1. 心臓移植
2. 肺移植
3. 肝臓移植
4. 膵臓移植
5. 腎臓移植
6. 費用
7. 海外移植の問題点
第6章 脳死下臓器提供と日本臓器移植ネットワークの役割
1. わが国における移植医療の歴史と日本臓器移植ネットワークの発足
2. 情報受信から臓器提供までの流れ
3. コーディネーターの立場と姿勢
4. 脳死下臓器提供にかかわるコーディネーターの役割と人数
5. 臨床成績
6. 臓器提供後の家族支援
7. 今後の課題と問題点
[資料2]ドナー適応基準
第7章 インフォームド・コンセント;承諾手続きと生命倫理
1. 臓器移植における承諾
2. 移植医療の本質
3. 生命倫理・死
4. インフォームド・コンセント
5. 環境づくり
[資料3]インフォームド・コンセント時の着座位置
[資料4]インフォームド・コンセントの実際
第8章 患者家族とのコミュニケーションの取り方
1. はじめに
2. 話を聞くとは
3. コミュニケーションの技術(スキル)
4. 話が聞けないのは
第9章 心停止後の臓器提供
1. はじめに
I 心停止後の臓器提供について
1. 情報の受信
2. 情報収集とドナー適応判断
3. 家族への説明と承諾(インフォームド・コンセント)
4. 承諾後の手続き
5. レシピエント候補者選定
6. 腎臓摘出
7. 腎臓搬送
8. 摘出終了後の業務
II 心停止後の臓器提供;臓器各論(腎臓,眼球)
[腎臓]
1. 腎臓の働き
2. 腎不全と透析治療
3. 腎臓移植
[眼球(角膜)]
1. アイバンクとは
2. 角膜移植とアイバンクの歴史
3. 角膜移植
4. アイバンク・コーディネーター
第10章 組織移植
I 組織移植
1. はじめに
2. 組織移植とは
3. 組織移植の法的妥当性
4. インフォームド・コンセントの取得
5. 組織移植医療の安全性の確保
6. 組織移植コーディネーターの役割
7. 組織バンクにおける問題
8. 組織提供の流れ
9. ドナースクリーニング
10. 組織バンクにおけるSOPとクオリティコントロール
11. 組織保存におけるクオリティアシュアランス(QA)とクオリティコントロール(QC)
II 組織移植各論
1. 角膜
2. 皮膚
3. 心臓弁・血管
4. 骨
5. 膵ランゲルハンス島(膵島)
第11章 啓発活動
1. 臓器提供数増加のために
2. 一般啓発活動
3. 医療従事者啓発活動
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