医師たちの証言

医師たちの証言

福島第一原子力発電所事故の医療対応記録

  • 定価 3,300円(税込)
  • 編著:谷川 攻一
  • 編著:王子野 麻代
  • A5・211ページ・上製
  • 発行年月:2013年07月
  • ISBN 978-4-89269-806-4
  • ※記載されている所属・肩書は、出版当時のものです。

2011年3月11日の東日本大震災に関する書籍は、現在(2013年6月)まで1000タイトルに近く、数多く刊行されている。福島第一原発事故に関する書籍も多い。
ただ本書のように、福島第一原発事故直後に、医療対応支援のために現地入りし、支援を行った医師たちの「生」の声、証言をまとめたものは他にはない。稀有である。
この記録は、医師・谷川攻一が福島での現実、現地で活動した医師たちが見た福島第一原発事故の医療対応の記録である。

I 東日本大震災、そして福島第一原子力発電所事故の発生(谷川攻一)

II 医師たちの証言

東日本大震災発生 そのとき、広島では……(谷川)

(3月11日(金))福島県での震災、そして原発事故対応

証言・そのとき、福島では―田勢長一郎医師/証言・そのとき、放射線医学総合研究所(千葉)では―富永隆子医師

(3月12日(土))広がる避難区域、オフサイトセンターの機能不全、水素爆発による負傷者の発生

証言・福島県災害対策本部にて―田勢長一郎医師/証言・そのとき、大熊町オフサイトセンターでは―富永隆子医師/三次被ばく医療機関の一員として:広島から千葉へ(谷川)/証言・原子力安全研究協会から放医研まで―寺澤秀一医師

(3月13日(日))医療機関や介護施設の避難、被ばく医療チームの福島入り

被ばく医療チーム、千葉から福島へ向けて(谷川)/福島での活動開始(谷川)/証言・福島への到着と最初の対策会議―寺澤秀一医師/証言・県災害対策本部にて―田勢長一郎医師/証言・オフサイトセンターにて―富永隆子医師/証言・二本松市男女共生センターでの広島DMATの活動―廣橋伸之医師

(3月14日(月))半径20キロメートル圏内入院患者などの避難、3号機水素爆発と患者発生

半径20キロメートル圏内からの患者避難の支援(谷川)/証言・避難患者を目の当たりにして―竹岡直子看護師/福島第一原発3号機爆発による負傷者への緊急対応(谷川)/証言・オフサイトセンターでは―富永隆子医師/証言・福島県自治会館では―寺澤秀一医師/避難者で混乱する相双保健所(谷川)/証言・相双保健所での活動を終えて―竹岡直子看護師/証言・県災害対策本部にて―田勢長一郎医師/緊急避難に伴う犠牲者の発生(谷川)

(3月15日(火))オフサイトセンターの移転、半径20キロメートル圏域内の残留入院患者の避難搬送

緊急被ばく医療調整本部の立ち上げと避難所における放射線検査(谷川)/証言・緊急被ばく医療調整本部の立ち上げ―近藤久禎医師/被ばく患者の受け入れ調整(谷川)/証言・住民への放射線検査―近藤久禎医師/証言・青森から福島へ―浅利靖医師/証言・行き場のない避難患者―寺澤秀一医師

(3月16日(水))福島第一原発事故で負傷した作業員の搬送、半径20~30キロメートル圏域屋内退避による医療機関、介護施設の孤立

福島でも空間線量率の上昇あり(谷川)/証言・県庁オフサイトセンターでは―浅利靖医師/福島原発内への緊急出動(谷川)/日本集中治療医学会評議員メーリングリストへの情報提供:事故発生後5日間の状況報告「福島県における緊急被ばく医療対応について(現況報告)」より(谷川)

(3月17日(木))半径20~30キロメートル圏内患者避難

証言・患者避難におけるDMAT支援―近藤久禎医師/福島からいったん広島へ(谷川)

(3月18日(金))半径20~30キロメートル圏域内の入院患者や施設入所者の避難

半径20~30キロメートル圏域内の入院患者や施設入所者の避難へのDMAT支援(谷川)

(3月19日(土))東京消防庁ハイパーレスキュー隊による放水活動

証言・東京消防庁に随行して―山口芳裕医師/証言・東京消防庁に随行して―坂本哲也医師/米国における福島第一原発事故の影響―米国ABCニュースからのメール(谷川)/米国における福島第一原発事故の反響―米国からのメール(谷川)

(3月22日(火))県庁オフサイトセンターでの活動:原発復旧作業員のための被ばく医療体制の整備

被ばく医療体制の再整備へ向けて(谷川)

(3月24日(木))3号機地下のタービン建屋で2名の作業員が汚染水により被ばく、汚染

県庁オフサイトセンターにおける対応(谷川)/前線への基地としてのJヴィレッジ・ナショナルトレーニングセンター(谷川)/Jヴィレッジへの出動要請(谷川)/証言・Jヴィレッジにおける自衛隊と救急医―坂本哲也医師/Jヴィレッジにおける新たな態勢の整備へ向けて(谷川)/証言・福島第一原発の支援医師として―衣笠達也医師/Jヴィレッジの位置づけについて―政府の理解(谷川)/救急・災害医療の専門集団としての日本救急医学会の支援(谷川)/証言・日本救急医学会の支援まで―坂本哲也医師/証言・Jヴィレッジ統括医師として―浅利靖医師/2011年3月の医療活動を振り返って(谷川)

III 見えてきたわが国の原子力災害における医療対応の課題(谷川攻一)

1.医師の使命

2.原子力災害における避難とは…

(1) 避難における犠牲者の発生
(2) 避難に伴う犠牲者の発生を防止するには…
(3) 忘れられていた災害弱者
(4) 福島原発事故から見た被ばく医療の現実
(5) あるべき緊急被ばく医療とは
(6) 医療者の心構え

IV 福島の経験、そして、これから(谷川攻一)

V 医師たちのインタビューを終えて(王子野麻代)

VI 出版によせて(石井正三)

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