外傷専門診療ガイドライン JETEC絶版
- 定価 9,900円(税込)
- 監修:日本外傷学会
- 編集:日本外傷学会外傷専門診療ガイドライン編集委員会
- A4・464ページ・並製
- 発行年月:2014年07月
- ISBN 978-4-89269-848-4
- ※記載されている所属・肩書は、出版当時のものです。
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日本外傷学会では、2002年に外傷診療の初期診療に焦点を当てた「外傷初期診療ガイドラインJATEC」を上梓し、同時に研修コースとしてJATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)コースを開催し、確実にその成果を収めてきた。本書は、JATEC で指導する初期診療を引き継ぎ,チームとして質の高い根本治療と患者管理が行えることを一般目標とした、外傷診療を専門とする医師のためのテキストである。外傷診療の専門性向上には診療の組み立てや管理能力を磨くことが重要であり、前者を「戦術」と表現すれば,後者は「戦略」といえる。手術や処置に関する「戦術」については,術式の創意工夫や新しいデバイスの開発など,状況に応じた多彩な手法が存在する。一方,「戦略」は人,物,技術の管理であり,限られた時間経過のなかでの意思決定も含まれる。「戦略」に標準化はなじまないが,その展開には一定の理論が存在する。外傷診療を専門とする者にはこの戦略立案の能力が求められる。したがって,本書JETEC では「外傷治療戦略」になにより力点を置いている。「JATEC の引き継ぎ」,「専門性」,「根本治療」,「意思決定」,「チーム医療」,「トータルマネージメント」――など、JETECの方向性を明確にした外傷診療を専門とする医師必携の一冊。
第1章 外傷診療総論
はじめに
I 外傷診療体系
外傷診療体制 (“The right patient in the right time to the right place”/初期診療での「防ぎ得た外傷死」の回避/外傷チームによる蘇生と治療/専門診療科への移行とリハビリテーション)/ガイドライン/外傷登録とデータ分析
II 外傷診療理論
外傷診療の原則/外傷診療の特殊性
III 外傷診療に求められる能力
個人の能力 (戦略決断能力(decision making)/蘇生に必要な戦術の遂行能力/チームコーディネート能力/トータルマネージメント能力)/組織の能力
IV 外傷診療体制
病院前救護体制 (メディカルコントロール/トリアージ基準/病院前における処置)/病院前外傷診療体制 (ドクターヘリ/ドクターカー/ラピッドカー)/病院内における急性期外傷診療体制 (外傷チーム/院内部門間連携体制/外傷専門施設のあり方)
V 外傷診療施設
初療室(救急蘇生室)/手術室/CT室/血管造影室/理想的な外傷診療施設
第2章 外傷治療戦略
1 蘇生に必要な治療戦略
はじめに
I ABCの安定化のための戦略
A(Airway:気道)の異常/B(Breathing:呼吸)の異常/C(Circulation:循環)の異常
II ダメージコントロール戦略
外傷蘇生に必要な病態生理学 (低体温/代謝性アシドーシス/血液凝固障害)/ダメージコントロール戦略の理論/ダメージコントロール戦略の適応/Damage control surgeryの手順 (ステップ1:蘇生的手術(DC1)/ステップ2:集中治療(DC2)/ステップ3:計画的再手術(DC3))/Damage control resuscitation (Permissive hypotension/Hemostatic resuscitation)
III 蘇生に必要なIVR
IVRの位置づけとそのあり方/蘇生的なIVRの概念/IVRとチーム医療
2 損傷部位別の治療戦略
(1)頭部外傷治療戦略
はじめに
I 頭部外傷初期診療総論
病院前救護と医療/Primary surveyと蘇生 (気道確保/呼吸管理/循環管理/「切迫するD」の認識と対応/体温管理/ショックと「切迫するD」の合併)/Secondary survey (画像検査/頭部外傷の分類)
II 頭部外傷の治療戦略各論
術式の選択 (開頭術/穿頭術)/病変別各論 (頭蓋骨陥没骨折/穿通性頭部外傷/急性硬膜外血腫/急性硬膜下血腫/脳内血腫・脳挫傷/びまん性軸索損傷/びまん性脳腫脹/外傷性脳血管障害/外傷性髄液漏)
III 重症頭部外傷が全身に与える影響
凝固線溶系異常/神経原性肺水腫
IV 頭部外傷の治療限界
(2)顔面外傷治療戦略
はじめに
I 顔面外傷におけるprimary surveyと蘇生
気道・呼吸の異常に対するアプローチ/大量出血に対するアプローチ/IVRによる出血のコントロール
II 顔面外傷におけるsecondary survey
顔面骨の特徴/発生頻度/診断 (身体所見/画像診断)/治療/顔面骨骨折の治療戦略 (前頭骨(および前頭蓋底)骨折/鼻骨骨折/眼窩壁骨折/頬骨骨折/上顎骨骨折/下顎骨(体部/角部/顎関節突起)骨折/顔面多発骨折/その他の部位の損傷 (神経損傷/眼外傷/眼瞼・涙道損傷/耳下腺(管)損傷/歯牙損傷)
(3)頸部外傷治療戦略
はじめに
I 病態と治療法
II 治療戦略
咽頭損傷/喉頭・気管損傷/頸部血管損傷 (頸動静脈損傷/椎骨動脈損傷)/食道損傷
(4)胸部外傷治療戦略
はじめに
I 病態と治療法
II 外科的治療とIVR
手術の目的 (蘇生的開胸術(RT)/根本治療としての手術)/胸部外傷に対する手術の優先順位 (他部位外傷合併時の優先順位/開胸時胸腔内操作の優先順位)/胸部外傷治療におけるIVR
III 胸部外傷に対する治療戦略
Primary surveyと蘇生・根本治療 (気道閉塞をきたす外傷/フレイルチェスト/開放性気胸/緊張性気胸/大量血胸/心タンポナーデ)/肺損傷に対する外科的治療 (肺縫合と非解剖学的肺切除/Pulmonary tractotomy/解剖学的肺葉切除/肺全摘術)/心損傷に対する外科的治療 (単純損傷と複雑損傷/開胸法の選択/損傷部位の検索と一時的止血法/修復方法)/Secondary surveyと根本治療 (胸部大動脈損傷/気管・気管支損傷/肺挫傷/鈍的心損傷/横隔膜損傷/食道損傷/鏡視下手術について)
(5)腹部外傷治療戦略
はじめに
I 腹部外傷の病態と治療法
II 穿通性腹部外傷の治療戦略
III 主要腹部外傷に対する治療戦略
肝損傷の治療戦略 (手術治療/IVR/NOM/肝損傷における合併症/その他)/脾損傷の治療戦略 (手術治療/IVR/鈍的脾損傷に対するNOM/穿通性脾損傷に対するNOM/脾損傷における合併症/その他)/腎損傷の治療戦略 (手術治療/IVR/NOM/合併症/その他)/膵損傷の治療戦略 (手術治療/IVR/NOM/膵損傷における合併症)/十二指腸損傷の治療戦略 (手術治療/IVR/NOM/十二指腸損傷における合併症)/胃・小腸損傷の治療戦略 (手術治療/IVRおよびNOM/胃・小腸損傷における合併症)/結腸損傷の治療戦略 (手術治療/IVRおよびNOM/結腸損傷における合併症)/直腸損傷の治療戦略 (手術治療/IVRおよびNOM/直腸損傷における合併症)
(6)四肢外傷治療戦略
はじめに
I 四肢骨折
治療方針/骨折治療法の概要
II 脱臼,脱臼骨折
治療方針/主な脱臼・脱臼骨折 (上肢/下肢)
III 軟部組織損傷
デグロービング損傷(手袋状剥皮損傷)/コンパートメント症候群 (診断と治療/筋膜切開の実際)
IV 開放骨折
治療方針/治療の実際 (手術室での術前洗浄/手術室での洗浄とデブリドマン/骨折部の固定/開放創の処置/Second look operation)
V 四肢主動脈損傷
四肢主動脈損傷の診断/四肢主動脈損傷に対する治療方針/血行再建の実際 (損傷血管の近位・遠位部コントロール/損傷血管の処理/間置血管用の静脈採取/血管吻合)
VI 神経損傷
治療方針/神経縫合の実際 (術前準備/神経断端の新鮮化/神経縫合)
VII Mangled extremity
VIII 圧挫症候群
治療戦略
(7)骨盤外傷治療戦略
はじめに
I 分 類
AO/OTA分類/Young-Burgess 分類/Denis分類/日本外傷学会分類
II 治 療
止 血 (固定法の種類と意義/経カテーテル動脈塞栓術(TAE)/骨盤パッキング/骨盤骨折に対する止血アルゴリズムと注意点)/骨折に対する治療 (骨盤開放骨折)
(8)脊椎・脊髄外傷治療戦略
はじめに
I 診 断
脊髄損傷の機能評価/脊椎損傷の分類 (上位頸椎損傷/中下位頸椎損傷)/胸・腰椎損傷
II 急性期の治療戦略
全身管理 (呼吸管理/循環管理/全身管理を必要とする患者に対する低侵襲手術(SDC))/頸椎損傷に合併する椎骨動脈損傷の診断と治療/脊髄損傷に対する急性期治療 (薬物療法の是非/骨折・脱臼に伴う脊髄損傷の除圧/非骨傷性頸髄損傷の除圧)/脊椎固定法 (上位頸椎損傷/中下位頸椎損傷/胸・腰椎損傷)
III 脊椎・脊髄損傷の合併症予防とリハビリテーション
尿路管理/消化管管理/関節拘縮の予防/褥瘡の予防/心理的サポート
(9)大血管損傷治療戦略
はじめに
I 疫学と分類
II 治療戦略
大血管損傷に対するダメージコントロール戦略/根本治療/損傷血管別治療戦略 (胸部血管損傷/腹部血管損傷)
(10)尿路性器外傷治療戦略
はじめに
I 尿管損傷
病態の特徴と疫学/損傷分類/診断のポイント/治療戦略/合併症対策
II 膀胱損傷
病態の特徴と疫学,損傷分類/診断のポイント (CT膀胱造影/膀胱造影(CG))/治療戦略 (腹膜外破裂/腹膜内破裂/腹膜内外破裂/術後管理)
III 尿道損傷
病態の特徴と損傷分類/診断のポイント/治療戦略 (初期治療/二期的再建術(尿道形成術))/再建術後の尿道再狭窄と合併症
IV 性器損傷
精巣挫傷・精巣破裂/精巣脱出症/陰茎折症
3 多発外傷治療戦略
はじめに
I 定 義
II 疫 学
III 多発外傷に対する生理学的異常の改善
IV 頭部外傷合併多発外傷
頭部外傷合併多発外傷の管理/頭部外傷合併胸部外傷の管理/頭部外傷合併腹部外傷の管理
V 整形外科外傷におけるETCとDCO
概 念/基本戦略
VI 多発外傷患者の脊椎・脊髄損傷治療
SDCの治療戦略/損傷高位別の治療 (頸椎損傷に対するSDC/胸腰椎損傷に対するSDC)
4 外傷周術期戦略
はじめに
I 重症外傷患者の基本的な病態生理: 蘇生前期
外傷死の三徴/低体温/代謝性アシドーシス/血液凝固障害
II 術前評価
重症度の予測
III 生体反応の推移
IV 術中麻酔管理
出血性ショック時の麻酔管理の基本 (麻酔導入/術中管理)/緊急開腹止血術/緊急開頭血腫除去術/血管造影・塞栓術/整形外科手術/計画的再手術
V 術後管理
治療目標/ICU入室基準/術後管理の実践 (来院~24時間以内の管理のポイント/経時変化による術後管理のポイント)/合併症対策 (見落とし損傷(missed injury)/急性腎傷害,造影剤腎症/ICU acquired weakness/高齢者外傷)
5 社会復帰戦略(外傷急性期リハビリテーション)
はじめに
I 重症外傷に対する急性期リハビリテーション
II 集中治療中からリハビリテーションを開始することの意義
III 脳卒中に対する急性期リハビリテーション
IV 頭部外傷に対するリハビリテーション
昏睡患者への介入/頭部外傷の急性期リハビリテーション/頭部外傷の回復期リハビリテーション/急性期リハビリテーションの実際/嚥下リハビリテーション (嚥下障害に対する摂食・嚥下リハビリテーションの導入/嚥下機能の評価方法)
V 脊髄損傷の急性期リハビリテーション
VI 四肢外傷の急性期リハビリテーション
影響とリハビリテーション/関節可動域に与える影響とリハビリテーション (浮腫対策/良肢位の保持/関節可動域訓練)/筋力に与える影響とリハビリテーション (等尺性運動/等張性運動/等運動性運動/電気刺激)/装具療法 (失われた機能の代償・補完/良肢位の維持/不良肢位の矯正/骨折治療・骨折部保護)
まとめ
第3章 外傷治療戦術
1 蘇生に必要な戦術
(1)蘇生的開胸術(resuscitative thoracotomy;RT)
はじめに
I RTの目的と適応
II 胸部外傷に対するRT
III 胸部下行大動脈遮断のためのRT
IV RTの戦術(手技)
肺靱帯の切離と肺の授動/心嚢切開と心損傷からの出血のコントロール/肺門部あるいは損傷肺中枢側でのコントロール/胸部下行大動脈遮断/心マッサージ/閉胸法
(2)蘇生的手術abbreviated surgery(DC1)
はじめに
I Damage control laparotomy
開腹法/開腹直後の術野展開と一時的止血操作/腹腔内の検索/後腹膜の展開/一時的閉腹法
II Damage control thoracotomy
開胸法/左前側方開胸による蘇生的開胸術
(3)Trauma IVRと蘇生的なIVR
I Trauma IVRの基本的手技
Trauma IVRを行う際の診療体制/Pre-procedural Planning(PPP)/シース留置/塞栓物質の準備/カテーテルによる血管選択/血管造影/塞栓物質の注入や留置/確認撮影
II 蘇生的なIVRの実際
骨盤骨折に対する蘇生的なIVR/肝損傷に対する蘇生的なIVR/脾損傷や腎損傷に対する蘇生的なIVR/手術による止血困難な出血部位に対する蘇生的なIVR/バルーンによる血流遮断/IABO (カテーテルデバイス/カテーテル挿入とバルーン位置決定/遮断時間と合併症/大動脈遮断効果の定量的評価)/カバードステントによる止血
2 外傷診療におけるCT検査の役割
I CT検査の位置づけとそのあり方
II CT検査と読影の実際
CT検査の適応と撮影プロトコールの考え方/各部位におけるCTの撮影の考え方 (頭 部/顔面および頸部・頸椎/胸部/腹部・骨盤/脊椎)/CT検査の実際/CT読影の実際 (advanced FACT(aFACT)/読影の第2段階の実際)
III CT画像情報をどう生かすのか:治療方針を考えるための基本8項目(ABCDEFGS)
A:年齢/B:活動性出血の数と出血部位,出血速度/C:外傷由来の血液凝固障害/D:薬物服用歴と既往歴/E:受傷から検査または診察までの時間/F:損傷形態/G:受傷エネルギーと意識レベル/S:ショックの有無と生理学的徴候の推移
3 外傷患者における集中治療管理
(1)気道・呼吸管理
はじめに
I 気道管理
気管挿管/気管切開 (特徴と適応/手 技)/顔面外傷・頸部外傷の気道確保/加温・加湿 (加湿器/人工鼻フィルター(HME))/気管吸引/体 位/気道トラブル時の対処方法
II 呼吸管理
換気障害/酸素化障害/人工呼吸器合併症/人工呼吸器関連肺炎/急性呼吸窮迫症候群 (定義・疫学/病理・病期/病態生理・臨床症状/治 療)/人工呼吸器からの離脱と鎮静・鎮痛管理/抜 管 (基 準/リークテスト/ステロイド投与)/頸髄損傷の呼吸管理/頭部外傷における呼吸管理
(2)循環管理
はじめに
I 循環の評価
循環血液量/心収縮力・心拍出量 (動脈圧波形解析法/超音波Doppler法)/末梢血管抵抗/酸素運搬・酸素消費/組織酸素代謝
II 循環管理
ショックの鑑別/出血性ショック (病態生理/蘇生目標/間質浮腫と利尿期への対応/輸液製剤:晶質液と膠質液/血管収縮薬/腹腔内圧上昇への対応/輸血療法)/閉塞性ショック/心原性ショック/神経原性ショック/敗血症性ショック
(3)頭蓋内圧管理
はじめに
I 頭蓋内圧(ICP)の病態生理
II 頭蓋内圧(ICP)モニタリング
頭蓋内圧(ICP)モニタリングの適応/術 式
III 頭蓋内圧(ICP)の波形
IV 神経集中治療における指標としての頭蓋内圧
V 頭蓋内圧亢進に対する対応
First-tier therapy (頭部挙上・頭位正中維持/鎮静・鎮痛・不動化/脳室ドレナージ/高浸透圧利尿薬,高張食塩水投与/過換気療法)/Second-tier therapy (バルビツレート療法/低体温療法/減圧開頭術)
(4)疼痛・不穏・せん妄の管理
はじめに
I 概 要
II 疼痛の評価とその対処
疼痛スケール/鎮痛薬の種類とその使用の実際
III 不穏・鎮静の評価とその対処
不穏・鎮静の評価スケール/鎮静薬の種類とその使用の実際
IV せん妄の評価とその対処
せん妄評価ツール/せん妄の予防と治療の実際
まとめ
(5)外傷後の感染対策
はじめに
I 頭部外傷における感染予防
穿通性頭部外傷における感染予防/頭蓋底骨折における感染予防
II 胸部外傷における感染予防
胸腔ドレーン留置中の感染予防 (基本的感染対策/予防的抗菌薬投与の有効性)/その他の胸部外傷に対する感染予防
III 腹部外傷における感染予防
穿通性腹部外傷における感染予防 (投与期間/抗菌薬の種類)/出血性ショックの場合の抗菌薬投与量について/その他の場合
IV 四肢外傷における感染予防
開放骨折 (予防的抗菌薬投与の必要性と投与開始のタイミング/抗菌薬の種類/投与期間)/非開放骨折
V 皮膚創傷における感染予防
(6)外傷と敗血症(sepsis)
はじめに
I 敗血症の定義
II 敗血症の疫学
III 敗血症の病態:血管内皮障害とDICの関与
IV 外傷後にみられる免疫能の変化とtwo-hit response
外傷そのものが“Danger”である/外傷と自然免疫能/外傷と獲得免疫能/自然免疫と獲得免疫のバランス/Two-hit responseとそのメカニズム
V 外傷後敗血症発症のリスク因子
VI 外傷後敗血症の迅速診断
VII 重症敗血症に対する治療
重症敗血症に対する管理法/重症敗血症に対する支持療法/重症敗血症診療バンドル
(7)外傷後の凝固・線溶管理
はじめに
I 外傷と局所・全身反応
局所反応 (侵襲の感知と情報伝達/炎症反応/止血血栓形成反応/組織修復・創傷治癒反応)/全身反応
II 外傷性凝固障害
希釈,低体温,アシドーシス,貧血/DIC/Trauma-induced coagulopathy(TIC)とacute traumatic coagulopathy(ATC)
III 外傷性凝固障害の診断
IV 外傷性凝固障害の管理
Damage control resuscitation(DCR)/Hemostatic resuscitation(HR) (基礎疾患の治療と抗凝固療法/輸血・補充療法/遺伝子組換え活性型第VII因子(rFVIIa)/抗線溶薬)
まとめ
(8)外傷後の腹腔内圧管理
はじめに
I 腹腔内圧上昇と腹部コンパートメント症候群の病態
腹腔内圧上昇と腹部コンパートメント症候群/Poly-compartment syndrome/腹部灌流圧(APP)/腹壁コンプライアンス/Primary(原発性)ACSとsecondary(二次性)ACS,recurrent ACS/腹腔内圧上昇時の臓器障害 (腎 臓/肝 臓/腸 管/中枢神経系/循環器系/肺)
II 腹部コンパートメント症候群の予防
Open abdominal management/temporary abdominal closure/腹腔内圧上昇/腹部コンパートメント症候群のリスク因子
III 腹腔内圧測定法
IV アルゴリズムと管理
非手術療法/外科的減圧術
(9)外傷後の静脈血栓塞栓症の予防と処置
I 静脈血栓塞栓症の概念
II 静脈血栓塞栓症の予防に関するエビデンス
III 外傷患者における静脈血栓塞栓症リスクの評価
IV 静脈血栓塞栓症の予防法
薬物的予防法 (未分画ヘパリン(UFH)/低分子ヘパリン(LMWH)/Xa因子阻害薬(Factor Xa inhibitor)/用量調節ビタミンK拮抗薬(VKA))/機械的予防法 (弾性ストッキング(GCD)/空気圧迫装置(PCD)/下大静脈フィルター(VCF))
V 外傷患者における静脈血栓塞栓症の予防戦略
(10)脂肪塞栓症
はじめに
I 特 徴
II 診 断
III 治 療
(11)栄養管理
はじめに
I エネルギー代謝変動
II エネルギー消費量の推定
間接熱量計/予測計算式
III 目標投与カロリー
IV 各栄要素の投与量
蛋白質必要量の算出/脂肪必要量の算出/炭水化物(糖質)必要量の算出
V 栄養投与経路
VI 早期経腸栄養が生存率を改善する
VII 経腸栄養の初期投与量
VIII 循環動態が不安定なときの経腸栄養
IX 経静脈栄養を行うべき病態(経腸栄養を控えるべき病態)
X 腹腔内圧上昇とopen abdomen managementにおける経腸栄養
XI 補足的静脈栄養の是非
XII 経腸栄養剤の分類
XIII 免疫調整栄養素(IMD)
XIV 経鼻的栄養チューブの留置位置
XV 消化管機能評価;経腸栄養の開始基準
XVI モニタリング
XVII 下痢対策
感染性下痢/浸透圧/脂肪性下痢/その他
XVIII 便秘対策
XIX 逆流誤嚥
XX 栄養状態の評価とモニタリング
主観的,客観的評価/蛋白代謝
XXI 血糖管理
目標血糖値/インスリン投与法
第4章 チームアプローチ
I 外傷診療におけるチームアプローチ
II チームアプローチの実際
外傷チーム (メンバーと人数/外傷チームの立ち上げ)/リーダーシップ (リーダーに求められる能力/リーダーとチームメンバー)/コミュニケーション (コミュニケーションの4パターン/SBARとclosed loop communication)/役割分担/意思決定 (意思決定過程の標準化/SOP)/ブリーフィングとデブリーフィング
III 外傷診療におけるチームアプローチの有効性
IV チームアプローチの評価
評価法/評価指標
V Non-technical skills教育
教育プログラム/off-the-jobにおける外傷チームトレーニング
第5章 Off-the-job training
1 既存コースの特徴
(1)国際的コース
I ATOM(Advanced Trauma Operative Management)コース
コース開発の経緯 (ATOMコース開発の経緯/日本におけるATOMコース導入の経緯)/コースの特徴/コースの概要/ATOMコースの課題/JETECにおけるATOMコースの位置づけ/まとめ
II DSTC(Definitive Surgical Trauma Care)コース
コース開発の経緯/コースの特徴/コースの概要/課 題/まとめ
III AOコース
コース開発の経緯/コースの特徴と概要/まとめ
(2)国内のコース
I Surgical Strategy and Treatment for Trauma(SSTT)コース
コース開発の経緯/SSTTコースの特徴/コースの概要/今後の課題と問題点/まとめ
II DIRECTセミナー
コース開発の経緯/コースの特徴/コースの概要/課題/まとめ
III 献体による外傷手術臨床解剖学的研究会
コース開発の経緯(海外における献体を用いた外傷研修/日本における献体を用いた手術研修と ガイドライン/日本における献体を用いた外傷手術研修について/ガイドライン発表後の外傷手術研究会と厚生労働省委託事業)/コースの概要と特徴(学習資料/受講対象/受講料/コース内容/研修の評価方法)/課題(諸経費/ホルマリン固定献体について/評価について/教材について)/まとめ
IV 救急整形外傷シンポジウム(EOTS)
コース開発の経緯/コースの特徴/コースの概要
V JABO
コース開発の経緯/コースの特徴/コースの概要
VI 日本整形外傷セミナー(JOTS)
コース開発の経緯/コースの特徴/コースの概要
VII 日本骨折治療学会研修会
コース開発の経緯/コースの特徴/コースの概要
VIII 日本重症四肢外傷シンポジウム
コース開発の経緯/コースの特徴/コースの概要
2 倫理的配慮
(1)Off-the-job trainingにおける動物倫理について
はじめに
動物実験の定義/動物実験の3R/国内における動物実験/動物実験等の適切な実施に関する必要事項 (実験動物における福祉問題)
おわりに
(2)カダバーを用いる際の倫理的諸問題
はじめに
I わが国の法律とガイドライン
わが国の法律 (解剖用人献体を扱う根拠となる「死体解剖保存法」/医学,歯学教育のための献体の根拠となる法律「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」/刑法第190条「死体損壊等」)/死体解剖のガイドライン (ガイドライン制定に向けて/「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」)
II 具体的な手順の例
ガイドラインを理解する/解剖学教室へ修練を提案・相談する/大学倫理委員会の承認過程を経る/献体登録者および家族の理解を得,書面による承諾を確認する/日程の決定,研修参加者の募集選定と実施/研修実施後
索 引
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