小児初期救急診療ガイドブック
- 定価 3,300円(税込)
- 監修・編集:柳澤 正義(国立成育医療センター総長)
- B5・196ページ・並製
- 発行年月:2004年05月
- ISBN 978-4-89269-477-6
- ※記載されている所属・肩書は、出版当時のものです。
小児救急医療は社会問題化しており、小児医療の抱える最重要課題となっています。現在のような状況をもたらした要因はさまざまですが、小児救急医療体制の整備はわが国の子ども達の健康と安全にとって基本的な事項であることはいうまでもありません。現在、一部の病院への夜間・休日小児救急患者の過度の集中、小児科医の過重労働が各地で生じています。多くの地域で初期から二次・三次救急まですべてを小児科医が担うことができない状況にあることは明らかであり、小児科医と小児科以外の医師(内科小児科開業医、総合医、家庭医等、以下、非小児科医と呼ばさせていただきます)との連携・協働による小児初期救急の充実を図る必要があります。そのための手段の一つとして、非小児科医が小児初期救急に携わる際に利用しやすく、また、研修・講習などの際にも参考になる「小児初期救急診療ガイドブック」の作成を、平成15年度厚生労働科学研究費補助金(医療技術評価総合研究事業)「小児初期救急診療ガイドブック(仮称)作成に関する研究」で行いました。研究班は1年間にわたり精力的に編集作業を進め、このほどようやく刊行の運びとなりました。
小児救急に関しては、書籍あるいは雑誌の特集がすでに数多く世に出ておりますが、本書は、呈示された症例について、小児科医と非小児科医がペアとなって共同執筆しているところに特徴があります。教科書的な記述ではなく、いわゆるマニュアルでもなく、また、ガイドラインでもないところから、ガイドブックと名付けさせていただきました。小児初期救急の現場での案内役としてお役に立つことができればと考えております。
「はじめに」より
「第1章 症候と疾患」に計67例の症例が呈示されております。症例ごとに非小児科医のアプローチ例を示し、それに対する小児科医からのアドバイス、小児科医が行う診療を並記しています。
ほとんどの症例は、午後8時頃(すなわち準夜帯)に夜間・休日救急診療所に来院した患者さんを想定しており、どのような点に気をつけて、どのように対処するかを記してあります。また、対応には家族への説明も含まれています。
日常、小児初期救急の現場で遭遇することが多いと思われる症候・疾患を症例として呈示しておりますが、もちろんそれらを網羅している訳ではありません。同様な症例を診る際のガイドとしてご利用下さい。
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第1章 症候と疾患
I 全身の症候と疾患
不機嫌(1)/不機嫌(2)/不機嫌(3)/発熱(1)/発熱(2)/発熱(3)/発熱(4)/脱水(1)/脱水(2)/脱水(3)/浮腫/アナフィラキシー/インフルエンザ
II 皮膚の症候
発疹(1)/発疹(2)/発疹(3)/発疹(4)/紫斑、出血傾向/蕁麻疹
III 痛みの訴え
頭痛(1)/頭痛(2)/耳痛/顔面・頸部の腫れと痛み(1)/顔面・頸部の腫れと痛み(2)/胸痛/腹痛(1)/腹痛(2)/鼠径部の腫れ/尿路の痛み/四肢の痛み
IV 呼吸器系の症候と疾患
咳(1)/咳(2)/喘鳴、呼吸困難(1)/喘鳴、呼吸困難(2)/喘鳴、呼吸困難(3)/クループ症候群/肺炎/喘息(1)/喘息(2)/鼻出血
V 消化器系の症候と疾患
悪心・嘔吐/下痢(1)/下痢(2)/血便(1)/血便(2)/便秘/急性腸炎(1)/急性腸炎(2)
VI 神経系の症候
けいれん(1)/けいれん(2)/けいれん(3)/意識障害(1)/意識障害(2)/意識障害(3)
VII 事故・外傷・その他
誤飲・誤嚥(1)/誤飲・誤嚥(2)/熱傷(1)/熱傷(2)/頭部外傷(1)/頭部外傷(2)/骨折・脱臼(1)/骨折・脱臼(2)/動物咬傷・昆虫刺傷(1)/動物咬傷・昆虫刺傷(2)/溺水(1)/溺水(2)/着色尿
第2章 小児初期救急における留意事項
1. 虐待を疑う症候と疑った時の対応
2. 高次医療機関との連携
3. 診断・治療に必要なこと
1)初期救急における検査方法・手技
2)初期救急における治療手技
3)初期救急における頻用薬品・備品
4)モニタリング
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