認知症診療の7つの常識を斬る
- 定価 2,750円(税込)
- 著:黒澤 尚(日本医科大学名誉教授)
- B5・144ページ・並製
- 発行年月:2013年12月
- ISBN 978-4-89269-823-1
- ※記載されている所属・肩書は、出版当時のものです。
重度認知症治療の深刻な実情を訴える「精神科医ドクターHK の挑戦」シリーズの著者が,軽度の世界を中心に語られる日本の認知症の常識に鉞(まさかり)を入れる!
予防や早期発見の情報ばかりを流すマスコミを、判断しようのない抗認知症薬の進行抑制効果を強調する製薬会社を、周辺症状とBPSDが混同されがちであるのに声を上げない識者を、せん妄を認知症の症状と誤解させるようなテキストを作って積極的な訂正をしない国を、本音で斬りまくる!
また、現状では情報が少ない認知症に併発したせん妄診察の実際や、軽視されがちな精神科病院での認知症対応について具体例を挙げて紹介。専門家を対象としながらも専門書の形態はとらず、豊富なイラストや漫画を交えて著者が語りかける。
専門家でなくとも認知症についてわかりやすく知識を深められる1冊。
第1章 認知症報道を斬る
1.認知症に関する情報は軽度認知症に偏っている
■コラム 新たな認知症の「対応による重症度分類」
2.認知症とひとくくりに言うが
初診時の認知症の程度/認知症についての啓発活動/在宅介護とひとくくりに言うが/NHK命名新型認知症について/認知症になったときのための準備
■コラム 認知症と診断され,認知症というレッテルを貼られ生きていくことが幸せか
第2章 認知症の常識を斬る
1.認知症の始まりはいつか,どのような症状か
2.認知機能はある期間にどの程度悪化するか
3.BPSDの悪化とは
4.MMSEの軽度・中等度は何点か
5.なぜ,せん妄の啓発が少ないのだろうか
6.認知機能検査の誤差
第3章 抗認知症薬の情報を斬る
1.抗認知症薬の治験結果と私の疑問
主要評価項目の解釈/治験の対象のMMSEの点数は/CIBIC plus-J について/MMSEの変化/海外データとの比較
■コラム CIBICの結果に目を向けよう/ADAS-J cog について
2.抗認知症薬の能書についての疑問
第4章 BPSD(認知症の行動と心理症状)を斬る
1.BPSDとひとくくりに言うが
2.現場で役立つBPSDの重症度別捉え方
3.認知症の重症度別に分類したいくつかのBPSD
帰宅願望/妄 想/同じことを何回も聞いてくる/徘 徊/盗 食/幻視とひとくくりに言うが/会話が成立しないとひとくくりに言うが
4.BPSDへの対応
第5章 認知症とせん妄の関係を斬る
1.認知症解説書におけるせん妄の位置づけ
2.内科系の認知症解説書のせん妄の記載
3.これら解説書ではなぜせん妄についての記載が少ないのか
4.この問題に対する私の主張
5.周辺症状・BPSD・せん妄を巡る誤解の軌跡と不思議
誤 解/不思議/結 論
6.認知症サポート医講習会テキストの問題
■コラム かかりつけ医認知症対応力向上研修教材5版について
第6章 せん妄無視を斬る
1.過活動性のせん妄と低活動性のせん妄
2.せん妄の診断は難しい
3.診断基準の適用の難しさ
4.秩父中央病院における実態
5.せん妄診察の実際
■コラム 認知症関連のせん妄の解説についての疑問
6.せん妄予防のための4D’S&E
7.家族への説明
第7章 精神科軽視を斬る
1.高度(重度)認知症を誰が診るのか:精神科医も忘れないで
2.かかりつけ医が外来で認知症かなと気づく点――三つの“ふ”
■コラム 認知症か
3.精神科の受診にあたって
4.私の指導方針
現状を理解すること。家族全員が共通の認識に立つ/これまでとは対応を変える/「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」についての疑問/入 院/施設を希望する場合/専門家への紹介/家族を支える/苦労している割には評価が低い嫁をケアする
■コラム 非薬物療法/薬物療法:初診で必要なら積極的に処方する。通常はいきなり処方しない
5.精神科医(私)として認知症患者の家族の要望に応えられないこと
6.精神科病院へ入院するということ
■コラム 看護師は忙しい
7.秩父中央病院の看護・介護法
■コラム 秩父中央病院認知症病棟に入院した人の生活
■コラム 「拭けばいいんだもん」はどのようにして教育したのか
■コラム 施設での対応
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